IT業界に携わっているエンジニアなら、「Docker」というソフトウェアの名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
Dockerとは、Docker(旧:dotCloud)社が提供しているコンテナ型仮想化プログラムのことです。2014年の6月にバージョン1.0がリリース。開発が始まったのは比較的最近のことですが、多くの企業の間に急速に普及していることで話題になっています。その中にはあの世界的IT企業・Googleの名前もあり、インフラ構築関係者の間ではDockerが業界を牽引する次世代のソフトウェアになる可能性が高いと大いに注目されています。インフラ強化に対応しなければならないフリーエンジニアにとって、もはやDockerは常識と言っても過言ではない存在です。数ある管理ソフトウェアの中で何故Dockerがこれほどの人気を博しているのか、その長所をご紹介しましょう。
これまで業界内では、OSやミドルウェア、アプリケーションを全てVM(仮想マシン)に収容する「ハイバーバイザー型」のソフトウェアが主流でした。その点、Dockerに採用されている「コンテナ」という技術は、別途コンテナ管理用のソフトウェアを活用してミドルウェアやアプリケーションのみをコンテナに収容しています。
画期的なアイデアのように思えますが、実はDockerには独自の技術がほとんど使用されていません。従来のオープンソースのソフトウェアを組み合わせているだけなので、分かりやすくて管理が非常に楽になるというメリットがあります。
ハイパーバイザー型の弱点は、全てのシステムが収容されているせいで仮想マシンに多大な負担がかかってしまうことです。しかしDockerの場合、OSはコンテナ間で共有されています。ハードウェアの上に複数のコンテナ群を配置するというコンセプトで運用できるため、無駄を一切省くことができます。CPU等のコンピュータリソースへの負担が少なく、効率的に複数のシステムを作動させることが可能となります。サーバ等への投資費用を軽減できるのは、経費節約を推進している企業にとって願ってもない話です。
Dockerはシンプルなシステム設計になっているため、クラウドへの配備が容易という強みがあります。アプリケーションの相互運用性の高さは、開発の分野において大きな武器になります。異なるサーバ上でも、簡単に同じ環境を構築してプロジェクトのテストを敢行することが可能です。OSのブート処理などの無駄手間を省けるため、Dockerの普及はアプリ開発者にとっても大いに歓迎すべき事なのです。